売れない理由が「スタッフのヤル気」という、渋谷の百貨店に出店していた店舗の立て直しで、シフト改善と、時間効率の管理による機会均等化の次に取り組んだこと。 3. 店舗管理作業の均等化 販売職には、接客の他にも様々な業務がある。 在庫発注管理、売上管理、個人情報管理、販促物・備品管理、本社・商業施設への報告など、1店舗につき一般事務ぐらいの事務仕事があり、各スタッフが何かしらの業務を担当しつつ、その配分は店舗によって様々。その他、売上日報や掃除は、早番・遅番の出勤者業務になる。管理業務の煩雑さは取扱の商品数に比例する。
売れない店舗は、この業務分担に偏りがあることも、多い。 在庫発注は店長しかできない、とか、連絡業務は副店長しかわからない、など。
たとえば、発注権限が店長だけにあり、2連休に欠品が起こった場合、化粧品販売では簡単に3~5日、販売機会を損失する。それが主力やプロモーション商品だった場合、穴はとても大きい。
欠品した当日、店長に電話して繋がらなければ、翌日も欠品し機会損失。 対応に困り、営業担当に連絡をとり発注したとしても入荷まで2~3日掛かり結果、欠品した日から商品は4~5日後の入荷となる。都内であれば近隣店舗で在庫を借りる事も可能だが、1都市1店舗の地方となればそうもいかない。 このように、業務権限が一人に集中することは、毎日営業する業態は様々な機会損失が増える。 そこで私は2つのルールと共に、業務を会社組織と置き換えて、互いに相談やミスを補えるよう各2名で担当してもらい、2ヶ月おきのローテーションで全員が店舗業務を把握できるようにした。
【ルール】 1.担当業務は担当同志で相談し、進捗、不在時の対応は、必ず連絡帳で全員に共有する。
2.担当業務の中で、売上予算と経費に関連する意思決定は、店長に報告・相談する。
【会社組織風の分担】 ・営業部=シフト作成・予算・実績管理(店長担当) ・業務部=売上・商品在庫・発注管理(スタッフ) ・総務部=販促物・備品管理(スタッフ)
商業施設に出店するブランドは大きな投資で行っている事業だが、毎日5坪前後の店舗に4~6名程ほどの人数で働く販売職は、組織の一員である意識が希薄。
販売職の研修は企業によって内容は様々だが、一般的な総合職へ行うような、企業概要やステートメント関する説明は、店舗勤務のスタッフは他人事のように捉えらている様子が否めない。
私は販売職はブランド事業のフロントで大きな役割を担うことを、感じ取って欲しかったので、業務分担を説明するとき、会社の組織・所属する事業部の体制も併せて説明をした。 また、若いスタッフに何かを任せると、彼女たちに責任感を生むと同時に、スタッフの失敗は気づけなかった自分の責任と、自らの戒めになっていた。
結果、若いスタッフの意識は「失敗すると怒られる」から「自分が失敗すると店長が怒られる」に変わり、やがて「皆が困らないようにするには」という発想になっていた。
店舗の売上は、一人の強烈な権力と販売力で作る売上より、複数名が協力しあう環境で作る売上の方が遥かに大きく、顧客が店舗に持つ印象も大きく変わります。
店舗やスタッフのことをよく見ていて、親しみをもって気にかけてくれるお客様は、意外なほど多いのです。
それは思わぬ方面へ評判を呼び、延いては、ブランディング向上に繋がります。
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